
ランニングシューズの靴紐を通す穴であるハトメ(英語ではアイレット)が、2段ハトメ用を除いて「内外に6対」あるモデルを一覧にまとめました。
本記事では、6対ハトメがもたらすメリットと5対モデルとの違いを整理したうえで、ブランド別に記事作成時点の現行モデルを中心に紹介します。
※本記事ではロードモデルのみを取り上げています。
6対ハトメに注目する理由と5対との違い

※ハトメの数は5対・6対以外のモデルも存在します。ただし、一般的なランニングシューズではこの2種類が大半を占めているため、本記事では主に5対と6対の違いに焦点を当てています。
「なかなか自分の足にぴったり合うシューズに出会えない」 そう感じているランナーは、実は私だけではないはずです。どれだけ素材や設計が進化しても、万人に完璧に合う既製品は存在しません。足の形、甲の高さ、そして求めるフィット感は、一人ひとり違うからです。
もちろん、ブランドによってラスト(靴型)の特徴はさまざまですし、ウィズ(足囲)の展開を使い分けて自分の足に寄せていくこともできます。しかし、実際にはそのたくさんの選択肢の中から「これだ!」と思える一足を見つけ出すのは、意外と難しいものです。
だからこそ、重要になるのが「紐による調節」です。私がハトメ(靴紐穴)の「6対」にこだわるのは、それが「足に靴を合わせる」ための調節の余白を広げてくれるからです。
もちろん、5対以下のモデルがダメなわけではありません。私自身も5対のモデルを選ぶことがあります。ただ、走っているときの一体感やホールド性にどこか物足りなさを感じている方にとって、6対という選択肢は、理想のフィット感へたどり着くための非常に心強い味方になります。
心理的な「おまじない」ではないのか?
実はこの記事を書くにあたり、自分自身の「6対へのこだわり」が単なる思い込みや心理的なおまじないではないか、と気になりAIに質問を投げてみました。
AIの回答を整理すると、ハトメの数が増えることは単なる気分の問題ではなく、物理的・構造的なメリットに基づいていることが分かりました。もちろん、AIは時にもっともらしい嘘(ハルシネーション)をつくこともありますが、提示された理論は私が長年感じてきた「手のひらで包まれるような安心感」とピタリと一致するものでした。
ここからは、AIが教えてくれた「6対がホールド感に優れる理由」と、それに対する私なりの実感をまとめてみます。
【AIの視点】6対はなぜホールド感を保ちやすいのか
AIによると、5対に比べて「穴が1つ多いだけ」という差は、走りに物理的な影響を与えるそうです。最大のメリットは、足を「点」ではなく「面」で押さえられることにあります。
紐をを通すポイントが1つ増えることで、圧力が分散され、甲全体をより細かく調整できるようになります。 ここで重要なのは、「ハトメが多い=締め付けが強くなる」のではないということ。本質は、フィット感の微調整の幅(解像度)が広がることにあります。
この「微調整の幅」があるからこそ、長時間走行やスピード変化の中でも、中足部がブレにくい安定したホールド感を維持できるのだと教えられました。
【AIの視点】5対モデルが増えている理由
一方で、近年5対ハトメのモデルが増えている背景についても、AIは興味深い分析をしてくれました。どうやら、5対の中にもいくつかの「設計思想」があるようです。
- 初心者・ジョグ層向け: 足入れの柔らかさや脱ぎ履きのしやすさを優先し、あえて「強すぎないホールド」でリラックスして走れるように設計されています。
- 最新のスピードモデル: 実は、ブランドによってはフラッグシップ級のスピードモデルにも5対が目立ちます。これには「1gでも軽くする」という徹底した軽量化に加え、紐に頼らずともアッパーの特殊素材や構造自体で固定できるという背景があるそうです。
ただし、ここで注意したいのは、これまでと同じような素材や構造のまま、単にハトメを5対に減らしているモデルも存在するということです。このタイプは、AIが語る「最新の構造による固定」の恩恵を受けにくいため、単純に靴紐によるコントロールがしにくくなってしまいます。
5対モデルのすべてが「最新構造による進化」というわけではなく、その作りは多種多様なのです。
履き込んだ後に差が出るポイント
AIの分析を聞いて、5対モデルの多様性に納得しつつも、私が感じたのは「どんなに優れた構造も、走るほどに必ず変化していく」という現実です。
最新構造で固められた5対も、単純に穴を減らしただけの5対も、新品時(ショップでの試し履き)にはそれなりにフィットするかもしれません。しかし、実際に100km、200kmと使い込んでいくと、明らかな差が出てきます。
- アッパーが馴染んで柔らかくなったとき: 生地の伸びや「構造」のヘタリが出てきても、紐の密度が高い6対なら、締め直すことでホールド感を再構築(リカバリー)しやすい。
- フォームが崩れたとき: 疲労で足がブレやすくなった際、中足部をタイトに締め直して安定感を呼び戻せるのは、微調整が効く6対ならでは。
- コンディションの変化: 雨でアッパーが伸びたり、長距離で足がむくんだりした際、「ここは緩め、ここは締め」という細かなワザが効く。
AIの教えによって、「5対は(良くも悪くも)メーカーが用意した完成度に身を委ねるもの」「6対は、変化する状況に合わせてランナー自身がフィットを作り続けるもの」という違いが明確になりました。
やはり、最後まで自分の手で足元をコントロールし、長く付き合いたい私にとって、「6対のハトメは不可欠なスペックである。」その確信は、さらに深まりました。
それでは、具体的にどんなモデルがこの「6対のハトメ」を採用しているのか、ブランド別に見ていきましょう。
ブランド別|6対ハトメ採用モデル一覧
クッション性や重量といったスペック表の裏側に隠れた「6対のハトメ」を持つモデルを、主要ブランドごとに現行モデルを中心に整理しました。※2段ハトメ用を除き、内外に6対のモデルです。
アシックス
アシックスは、走りの質に直結するモデルほどハトメを多く配置する傾向があります。
主な6対モデル
- スタビリティ系: GEL-KAYANO 32 / GT-2000 14 / GT-1000 14
- レーシング・スピード系: METASPEED SKY TOKYO / MAGIC SPEED 5 / TARTHER RP 3 / LYTERACER 6
- エントリー・多目的: SONICBLAST / GEL-CONTEND 9 EXTRA WIDE
特徴と傾向:快適性重視の「GEL-NIMBUS」や「GEL-CUMULUS」が5対を採用し、リラックスした履き心地を提供する一方、長距離での足のブレを防ぎたいスタビリティモデルや、路面を蹴り出すパワーをロスしたくないスピード系には、6対を採用しホールド感を高めています。
アディダス
アディダスは、シリーズによってハトメの数を明確に使い分けています。
主な6対モデル
ADIZEROシリーズのほとんどのモデル
※Adizero Prime X3 STRUNGは5対ですが、STRUNGアッパーという独特な構造を採用しています。
特徴と傾向:アディゼロシリーズは、シビアなフィッティングを求めるランナー向けに6対が主流です。一方、初心者やジョギング層向けのスーパーノヴァシリーズは5対に抑え、足入れのしやすさと開放感を優先しています。
On(オン)
Onはデザイン性と機能のバランスから、ハトメの数を抑える傾向にあります。
主な6対モデル
Cloudsurfer Next
Cloudboom Strike
ほとんどのモデルが5対ですが、個人的にOnについてはあまり情報を入れておらずAIに質問すると、これはハトメの数ではなく、アッパー内部の構造やサイドの補強パーツで足を固定する設計思想が強いためだそうです。6対を採用しているモデルは、よりアグレッシブな走りを想定した最新ラインに限定されています。
ナイキ
ナイキは現行の主要ラインナップでは、6対は確認できませんでした。
ただし、5対でも、アッパー素材自体の編み込みや内部バンドなど、ハトメ以外でホールドを作る設計が見られます。
個人的には、サポート性重視なら、ストラクチャーシリーズ、またはロード用ではなくトレイルモデルでしっくりくるものがありました。
ニューバランス
ニューバランスは、用途によってハトメの数をハッキリと使い分けています。
主な6対モデル
FuelCell Rebel v5
FuelCell SuperComp Elite v5(コラボモデルを含む)
FuelCell SuperComp Trainer v3
DynaSoft Flash v7(※2段ハトメ用を除いて7対の超高密度設計)
特徴と傾向:反発性の高い「FuelCell」シリーズのスピードモデルに6対が見られます。対照的に、クッション重視の「Fresh Foam X 」シリーズやInfinion(インフィニオン)が搭載された1080 v15などは5対を採用。長時間のLSD(ロング・スロー・ディスタンス)でも足が浮腫(むく)むなど、快適さを損なわないよう、ゆとりを持たせた設計になっています。
プーマ
主な6対モデル
マグマックス ニトロ 2
ヴェロシティ ニトロ 4
ヴェロシティ ニトロ 4 EKIDEN
フライヤー ライト 3
トランスポート
特徴と傾向:比較的ゆっくりペース向けやエントリー帯にも6対が採用されている印象。一方、スピード系では5対が多め。
個人的に、プーマに限らずデイリートレーナーの中心になりそうなモデルが「ヴェロシティ ニトロ 4」です。ディヴィエイト ニトロ 4(ハトメは5対)とモデル名が混同しやすい気がしますが、ヴェロシティ ニトロ 4は6対のハトメに加え、樹脂ベースの補強パーツPWRTAPE(パワーテープ)を戦略的に配置。ハトメの「多さ」とパーツの「強さ」の相乗効果で、中足部の横ブレを抑える安定感がありサポート性がしっかりしている印象です。また、Japan Fitという日本人専用のラスト(靴型)が採用されているようです。
ブルックス
ブルックスの記事作成時点の現行モデルはすべて6対です。
特徴と傾向:アッパーに安心感があるモデルが多いです。外側に大きな補強パーツは見えないものの、中足部のガッチリ感と踵部ヒールカウンターの硬さがしっかりしています。
個人的にゴーストシリーズを良く使用しますが、快適さを保ちながら必要な部分はきちんと締まる設計。アッパー素材自体の強さで支える印象もあります。
HOKA(ホカ)
厚底の代名詞HOKAも、フラッグシップモデルには6対をしっかり採用しています。
主な6対モデル
CLIFTON 10(クリフトン10)
BONDI 9(ボンダイ9)
MACH 7(マッハ7)
特徴と傾向:HOKAはソールのボリュームが特徴的ですが、踵部ヒールカウンターは比較的しっかりしているモデルが多く、後足部の安定感は感じやすいブランドです。クリフトン10やボンダイ9といった、ブランドの顔とも言えるモデルは6対。一方、軽量化を突き詰めたスピードモデルでは5対に減らす傾向があります。
ミズノ
ミズノで主な6対モデル
WAVE RIDER 29
WAVE SKY 9
WAVE INSPIRE 22
MIZUNO NEO ZEN 2
MIZUNO NEO COSMO
特徴と傾向:近年は快適性重視のモデルも増えていますが、シリーズとして長期継続するものはまだ限定的に見えます。個人的には、6対でも踵部の剛性やシュータンの安定性に物足りなさを感じるモデルもあり、使用頻度が下がることもありました。
一方、WAVE RIDERやWAVE INSPIREなど長期継続モデルは、流行を取り入れつつも長年培った「アッパーの作りの良さ」を6対の構成に反映させてサポート力は健在です。
なお、スピード向けのHYPERWARPシリーズ(3モデル)はすべて5対。今後の進化に期待が高まります。
6対だけでは不十分?シュータンや踵構造との関係
6対ハトメは、フィット調整の幅を広げてくれる重要な要素です。しかし、それだけでランニングシューズにおける、ホールド性が決まるわけではありません。実際の走行時の安定感は、いくつかの構造が組み合わさって生まれています。
シュータンの構造
いくら6対でも、シュータンがズレやすい構造だと締まり方は安定しません。
・ガセットタンかどうか
・厚みや張り
・足首まわりへの沿い方
こうした違いで、同じハトメの数でも体感は変わります。
踵部のヒールカウンター
ホールド感の“土台”になるのが踵部です。
ヒールカウンターが柔らかいと、前足部を締めても全体の安定感は出にくくなります。
逆に、踵がしっかりしているモデルでは、6対の調整幅がより活きやすい傾向があります。
6対ハトメの役割
6対は、あくまで“微調整の幅を広げるパーツ”。ホールドを作る主役というより、他の構造を活かすための“調律装置”のような存在です。
ハトメの数、シュータン構造、踵の作り。アッパーのホールド性は、この3つが噛み合うと、より高まります。
構造面からホールド性を高めたい方は、「シュータンがズレず、踵ガッチリ!構造で選ぶランニングシューズのまとめ!」もあわせてご覧ください。
最後に
今回は、私自身が気になっていたこともあり、6対モデルに注目しました。実際に見比べてみると、フィット感の調整幅という点で6対の特徴は分かりやすいと感じました。
ハトメの数は小さな違いに見えますが、履き心地には確かな差があります。ただし、5対と6対にはそれぞれの良さがあります。足幅や締め具合の好みなど自分の足との相性に合わせて選ぶことが大切です。
また、ハトメの数が異なると適した靴紐の長さも変わります。交換を検討している方は、現在の本数に合った長さを確認してみてください。









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