アシックスのランニングシューズ、GT-2000 12です。
GT-2000シリーズは10代目の節目にソールの構造が大きく変わったばかりですが、先に発売されたゲルカヤノ30とともに今回の12代目ではこれまでのアシックスのスタビリティモデルに対する考え方とは異なる新しい作りになっています。
使用目的としてはアシックスの商品説明に「さまざまな距離に対応する汎用性の高いスタビリティトレーナー」とある通り、短い距離で気軽に走りはじめたいランナーから本格的な長距離ランニングでも安心なクッション性とサポート性を備えたモデルです。
実際に使用したランナーの感想を見ると、走力的にはフルマラソンでサブ4を目指すペース(1kmを5分40秒くらい)までが走りやすく機能性を発揮できるシューズのように思います。
サイズ感と履き心地
GT-2000 12のサイズ展開は以下の通りです。
- メンズ:24.5~29.0cm(0.5cm刻み)と30.0,31.0,32.0cm
- レディース:22.5~26.5cm(0.5cm刻み)
ウィズ(足囲)の展開は9代目までは「細め」から「幅広」まで3種類あり自分の足に合わせやすいモデルでしたが、10代目からはメンズとレディースともに2種類だけになっています。
メンズは標準(2E相当)のSTANDARD(スタンダード)とかなり広め(4E相当)となるEXTRA WIDE(エキストラワイド)です。レディースは標準(E相当)のSTANDARD(スタンダード)と広め(2E相当)のWIDE(ワイド)です。
ただ、スポーツオーソリティではメンズはスタンダードとエキストラワイドの間に位置するワイドモデルやレディースではワイドより幅広いエキストラワイドが加わってウィズ(足囲)は3種類あるようです。個人的には細めのナローモデルも出してほしいです。
スポーツオーソリティ(SPORTS AUTHORITY)公式通販サイト
サイズ感
項目 | 左足 | 右足 |
足長 | 25.2cm | 25.3cm |
足幅 | 9.7cm | 10.0cm |
足囲 | 23.3cm | 23.9cm |
かかと幅 | 6.6cm | 6.5cm |
足甲高さ | 6.0cm | 6.1cm |
GT-2000 12で選んだサイズは26.5cmです。ウィズ(足囲)は10代目からはナローモデルがないためメンズのスタンダード(標準幅)です。
足長的には10代目や11代目と同じくらいでつま先部分に手の親指の爪の幅(約1.8cm)くらいの余裕があり足の爪の上側もラクです。
旧モデルでナローモデルを使用していたころと比べると前足部が広く感じますが一般的に2E相当がレギュラー幅となっているモデルの中では特に広めだったり逆に狭く感じたりもしません。
前足部に比べて中足部はサイドからしっかりフィットします。甲の部分はハトメの間隔が広くも狭くもならずちょうど良いですが、シュータンの足あたりは好みが分かれそうです。
踵部は細めの作りで硬さもありホールド性に優れサポート力があります。
足長 | 小さい | |・・・・・・・| | 大きい |
爪の上側 | 低い | |・・・・・・・| | 高い |
横幅 | 細い | |・・・・・・・| | 広い |
甲の部分 | 低い | |・・・・・・・| | 高い |
ハトメの間隔 | 細い | |・・・・・・・| | 広い |
かかと部 | 細い | |・・・・・・・| | ゆるい |
アッパーとソール
アッパーについては10代目や11代目と同じように生地の感触は足当たりが良い部分もありますが、優しいフィット感だけでなく中足部から踵部はやや細めの作りでカッチリとした部分もありサポート力がアップしているように感じます。
シュータンはアシックスの公式通販の商品画像だけでは足首側の端の部分だけ見えたため薄手だと思っていました。実物は上の画像のように一部はパッドのようになって厚みがあり柔らかいです。しかし、それ以外の部分にふんわり感はなく11代目と比べて足当たりはやや硬めです。両端はアッパーとつながって外ズレしにくく足を包み込むような一体感があります。
また、シュータンの縁の部分に硬さはありませんが足の動きによって足首に当たるのが気になります。私の場合は痛みなど出ていませんが、慣れるまでは肌に直接触れないように短いソックスは避けた方が良いかもしれません。
他にアッパーで少し気になったのは靴紐の通りは滑らかではなく締め上げがスムーズにいきません。もっと長時間使ってみないと分かりませんが、反対に緩みにくいという良さがあるかもしれません。
ソールについては9代目までスタビリティモデルとしての機能を支えてきたDUOMAX(デュオマックス)やTRUSSTIC(トラスティック)という硬い樹脂製のパーツが10代目ではLITETRUSS(ライトトラス)という構造に大きく変わりましたが、今回の12代目ではさらに新しく3D GUIDANCE SYSTEM(スリーディガイダンスシステム)が搭載されています。
3D GUIDANCE SYSTEMはミッドソールやアウターソールに広がりを持たせたり、スムーズな接地を促すための踵部の適切な傾斜により走行時の変化に合わせて安定性と快適性が得られるようになっています。
ミッドソールの素材は10代目や11代目とも異なり、軽量で反発性に優れたFF BLAST PLUS(エフエフブラストプラス)を採用しています。心地よい柔らかさがあり、程よく弾んで足が前へ進みやすく感じます。
GEL(ゲル)については11代目の素材より柔らかくなったPureGEL(ピュアゲル)が踵部に内蔵されてゲルカヤノ30と同じように外側からは見えなくなっています。
これまでGELが使用されていたモデルではGT-1000シリーズの7代目と8代目でGELがミッドソールに内蔵されていました。個人的には内蔵されている方が着地の圧力でGELが潰れて外側に広がらず踵の安定性が良い気がしていましたので、柔らかさを感じやすいFF BLAST PLUSとPureGELの組み合わせでもこの構造の方が合っているように思います。
アウターソールのパターンは10代目や11代目よりもゲルカヤノ30と似ています。
12代目では横幅が広くなりガイダンスラインの溝もあります。10代目からはフラットソールになっていて接地から蹴り出しまで体重移動がスムーズです。
ラバー部分は耐久性のある素材のようですが11代目と比べて薄くなっているように見えます。着地の感触はラバーが途切れている外側より、中足部あたりも覆われている内側の方が硬さがあり、倒れこみを防ぐ役割があるような気がします。
9代目以前のモデルにはあった中足部の樹脂製の硬いパーツやデュオマックスはなくなりましたが、新しいサポート構造でも走り心地は不思議と安定感があります。ただ、よりサポート性を求めるなら土踏まず部分に高反発フォーム材が搭載された4D GUIDANCE SYSTEM(4Dガイダンスシステム)のゲルカヤノ30の方が安心かもしれません。
踵のフィット性
踵部は後ろ側だけでなく側面までガッチリと硬く踵全体をつかまれるようにしっかりフィットしてホールド性に優れています。
また、履き口の後部が高く外側へ反っている形状がJOLT4と似ています。これにより脱ぎ履きがしやすくアキレス腱あたりにも刺激がなく快適です。
上の画像は11代目ですが、12代目と比べてラバー部分の厚みが大きいように思います。また、10代目より小さいですがミッドソールにGELが見えています。
10代目は外から見えるGELが大きかったです。
旧モデルの2つと比べてみると画像で見るより12代目は内側の広がりが大きいソールになっています。
中敷き
中敷きはふんわりして心地よいですが、シューズからの出し入れがスムーズにいかないくらいの柔らかさがあります。厚さは前足部の底が平面でなくカーブしているため均一ではないですが、つま先部分は約5mmで踵部が約7mmです。
中敷きは取替式のため他のインソールに入れ替えることができます。
同じアシックスの別売中敷ではPERFORMANCE SOCKLINERが硬さのある作りのため取り替えると足裏のフワフワ感が幾分か抑えられます。
品番は靴幅がメンズのエキストラワイド用だけ「1173A028」になります。それ以外はメンズとレディースともにどの幅も「1173A029」です。
最後に
GT-2000 12はソールの硬いパーツなどがなくなり、同じミッドソール素材のFF BLAST PLUSとPureGELが搭載されたGEL-CUMULUS 25との違いが気になりましたが、走り心地はスタビリティモデルとしての安定性があり、購入前のイメージよりもサポート力を実感できます。
アシックスで機能的に同じカテゴリーのゲルカヤノ30の方がクッション性とサポート性は優れていますが、GT-2000 12も足に負担が少ない履き心地でゲルカヤノ30よりも軽やかに走ることができます。
ただ、旧モデルからの愛用者では接地感に違和感を覚えるかもしれないため、アッパーのサイズ感やフィット感だけでなくソールの感触も試し履きで慎重に確認した方が良さそうです。
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